ふじみ野市大井地区の8つの学童クラブの日々の生活をつづったサイトです
1日かけて何百本もの時計をプレビューした結果得られた、10本のハイライトを紹介しよう。
このオークションシーズン中に、ここジュネーブで最も話題になったふたつのロットは、みんなが待ち望んでいるようなものではない。彼らはこれまででいちばん高い見積もり額を出しているわけではないし、少なくとも以下で紹介するほかの主役級と比べれば、控えめな存在だと思う。しかしそれらは博物館でしか見られないようなもので、いわば真の“ほかのものを探したほうがいい(find me another)”時計なのだ。
クリスティーズ、サザビーズ、フィリップス、アンティコルムの4つのオークションに出品されている最も注目を集めた時計について、ディーラーやコレクター、熱心な参加者に尋ねたところ、私はこの2本のヴィンテージウォッチのことを何度も耳にした。オーデマ ピゲの1943年製コンプリートカレンダー クロノグラフと、パテック フィリップの“カメレオン”(イエローゴールドのブレスレットが変色するトカゲの形に彫刻されていることから名づけられた)だ。この2本の、普通ではないヴィンテージの盛り上がりは、ここ数年のハイプウォッチの隆盛(そして衰退)を経て、誰もが再び本物の時計について語る準備ができていることを示している。
想像してみてほしい。職人技に基づく希少性、そうヴィンテージが再び重要になるのだ。それでは早速このふたつのロットからはじめて、パテック、ロレックス、そのほかのヴィンテージブランド、インディーズブランドなど、注目の時計を紹介しよう。そしてオークションに出品された現代の時計には黙祷を捧げよう。
オーデマ ピゲ コンプリートカレンダー クロノグラフ
まずはフィリップスに出品されている、オーデマ ピゲのコンプリートカレンダー クロノグラフ Ref.831から。オーデマ ピゲのコンプリケーションヴィンテージウォッチは、もはや信じられないほどのレアアイテムで、富裕層のユニークなミッションのようなもだ。1950年以前、APはカレンダー機能を搭載した腕時計を、わずか208本しか製造していない。そのためまったく同じ個体はふたつとないというのが実情だ。そのうち、わずか10本がRef.831(うち8本がYG)と確認されている。
夢のようなこの時計は、まさに私が好きなヴィンテージコンディションを保っている。完璧ではないがきちんとパティーナしている。33mmというコンパクトなサイズに短く太いラグ、文字盤には3種類のトーン(クリームのメインプレートにサーモンカラーのクロノグラフインジケーター、そこに内包されたシルバーのカレンダー部分)があり、それぞれが温かみのある色合いになっている。ブランパンやショパールのL.U.C、超薄型パーペチュアルカレンダーなど、いわゆるネオヴィンテージのコンプリケーションが好きなことはこれまでも公言してきたが、この時計を身につけると、複雑な本物のヴィンテージウォッチに勝るものはないのだと思い知らされる。それは40年代前半に美しくつくられたゴールドケースにすべての複雑機構を詰め込み、そしてハンドメイドで温かみがあって、さらにパティーナが施された、まさにマイクロメカニカルなマジックなのだ。これに匹敵するものはない。フィリップスの見積もり額は15万~30万スイスフラン(日本円で約2265万円~4525万円)となっているが、それは上回るはずだ。
パテック フィリップ “カメレオン”
パテック フィリップスーパーコピーのカメレオンは、APと同様、ヴィンテージの魅力にあふれている。オークションシーズン中、最も話題になるロットのひとつが、1949年の時刻表示のみのジュエリーウォッチだなんて誰が想像できただろう? それくらい、この時計は珍しいのだ。なんとパテック フィリップ・ミュージアムにあるのが唯一の例である。カメレオンをイメージして造形されたYGブレスレットの上に、パテック フィリップの小振り(18mmという小ささだ)な文字盤が納まっていて、つけると手首に巻き付いているようになる。この時計を見るまでのあいだ、カメレオンの希少性と重要性(おそらく最も重要なレディースパテックだと言われているのだ)について、さまざまな専門家が語っているのを耳にしたことがある。万人受けしないデザインだし、同じ爬虫類の仲間であるセルペンティのようなエレガントさはないが、“子供たちを連れてレインフォレストカフェ(熱帯雨林をモチーフに、リアルな動物の鳴き声・匂いが体感できるテーマレストラン)に行こう”というような感覚を持つほど、この時計はとても魅力的だ。ほかのHODINKEEエディターは、雰囲気的に小さな老婦人がつけていそうだと言っていた。でも私の祖母はたとえ家にあの(カフェの)臭いがあったとしてもそれなりに超スタイリッシュだったし、何も悪いことではない。
アンティコルムはこのカメレオンに5万~10万スイスフラン(日本円で約755万円~1510万円)の見積もり額を出しているが、この時計はほかに1本しかなく、しかもそれがパテック フィリップ・ミュージアムに保管されていることを考えると、この時計の話題性は言うまでもなく、この見積もり額をゆうに超えないことには驚かないだろう。
パテックで締めくくる複雑なヴィンテージパテックが、オークションの主役となりうる大半を占めている。すでにノール 2497のことは書いたが、そのなかでもこれは特に興味深い話だ。また1518と2499もある。フィリップスからは、市場に出たばかりのファーストシリーズの2499が、オリジナルのまま修復されていないように見える個体と、クリスティーズからも同じく2499が出ているが、こちらはオリジナルオーナーの家族によってきれいに修復されている。どちらがよりよいか、時間をかけて議論することもできる(ちなみに私は修復されていない文字盤のほうが好きだ。長所も短所も含めて。だがひとつのシーズンに市場に出たばかりのヴィシェ社製ケースを持つ2499が2本も見られるなんて、うれしい限りだ)。ところでフィリップスは、2499の来歴について“ロイヤルファミリー”だと言及しているが、このロイヤルファミリーが君臨している可能性のある家族、国など、どこから来たかについては一切触れていない。慎重なのはわかるがヒントでもいいから情報が欲しい!
ほかにもミニッツリピーター 3974、ブラックダイヤル 570、ピンクゴールド 1463など、希少で複雑なパテックについても語ることができる。そのなかでもフィリップスから出品されているファーストシリーズから、ベイヤーの3940に注目したいと思う。コレクターが1518や2499、あるいはヴィンテージパテックの永久カレンダーモデルの細かな違いを区別できるようになったように、永久カレンダー 3940のようなクォーツショック後のリファレンスでも、同じことをし始めたのだ。Ref.3940は、1985年から2007年まで製造された長い歴史を持つ。最も重要なのはチューリッヒのリテーラーであるベイヤーが225周年記念としてつくった最初の25本のモデルである。
これはパテックにとって、すでに重要な意味を持つリファレンスだ。というのも、これは3970とともにパテックの複雑時計製造はどこにも行かないというフィリップ・スターン(Philippe Stern)氏の意思表明だったからだ。従来の3448、3450のように鋭くてシャープなものから、丸みを帯びたカラトラバ的なものへと永久カレンダーを再考している。またフィリップ・スターン氏が自ら身につけていた時計でもある。あるコレクターが言ったように、“老人にとって十分であるならば、私にとっても十分である”ということだ。
それだけでなく最初の25本のベイヤー 3940はとにかく素晴らしいのだ。一般的なシルバーダイヤルと比べて、こちらは温かみのあるシャンパーニュダイヤルを採用している。あのAPのようなヴィンテージの複雑時計に匹敵するものはないと言ったが、このシャンパーニュダイヤルはかなりそれに近づいている。さらにこのモデルがよりいいのは、スイス人のオーナーから譲り受けたもので、付属品がほとんど揃っているということ。どれだけ偏屈なコレクターも唸らせるはずだ。10進法の表記が好きなファンのためにお伝えしておくと、このモデル(のシリアル)は“No.10”である。25本あるベイヤー 3940のすべてがそうであるように、文字盤の右側にそう書かれている。フィリップスの見積もり額は、6万~12万スイスフラン(日本円で約910万円~1815万円)。ただスタンダードな3940よりもプレミアムがついて価格は伸び続けており、現在ははるかに高価な時計(サザビーズでは昨年、約40万ドル/日本円で約5390万円 で落札されたものがある)となっている。
ブレゲ トリプルカレンダー クロノグラフここまでAPとパテックのカレンダーとクロノグラフについて多くの時間を割いてきたが、このブレゲのトリプルカレンダークロノグラフは、三位一体として提供されるものと同様、神々しくて珍しいものだ。例えばロレックスのジャン・クロード・キリーのような存在であり、それよりも希少価値がある。50年代、60年代、70年代にかけて生産されたスティールモデルのうち、おそらく十数本が発見されていて、これらは特注品だったと推測する意見もある。何はともあれ美しくて希少で、ショーメ兄弟に買収される前のブレゲの時代のヴィンテージウォッチはあまり多くは存在しない。昨年クリスティーズは、同様の時計を17万6400スイスフラン(日本円で約2665万円)で販売している。私はパティーナガイであるため昨年出たダイヤルのほうが好きだが、今週末に出品される12万スイスフラン(日本円で約1815万円)から18万スイスフラン(日本円で約2720万円)という見積もりは妥当なようだ。
未発売のホワイトゴールド製ヴァシュロン 222そうそうブレスレット一体型のスポーツウォッチの存在をほとんど忘れていた。今シーズンちちばんの注目は、WG製のヴァシュロン・コンスタンタン 222だ。そう、これは初めての222である。長いあいだ初代222はゴールド、SS、ツートンの3種類の金属で構成されていると考えられていた。この時計が発見されるまでは。
ヴァシュロンとフィリップスによると、こんなストーリーがあるそうだ。それは80年代のこと、あるクライアントからWGケースでできた222の依頼があり、さらにそれをダイヤモンドなどの宝石で仕上げたいというものだった。ケースの製作が完了したあとクライアントの意向が変わり、このようなユニークでプレーンなWGの222が完成したそうだ。ホールマークがはっきりとわかる、本当にキレイなコンディションを保っている。SS製のスポーツウォッチであるはずのWG(またはプラチナ)バージョンを身につけると、いつも心が溶けてしまうような気持ちになる。この222を手に取ったときにはその気持ちはさらに増幅した。これまで存在すら確認されていなかったバージョンの時計だったから。
フィリップスはこの222の見積もり額を、10万~20万スイスフラン(日本円で約1515万円~3025万円)としている。私たちはよく価格を類推(これはXの価値があるから、あれはYの価値があるはずだと、この記事でずっとやっていることだ)して判断しているが、このヴァシュロンは比較対象がないほど優れている。ただ本質的に判断するとしたら、時計学的にも歴史的にも興味深く、また希少価値の高さ、重要なメーカー、優れたデザインなど、すべての条件が揃っているといえるだろう。
1日かけて何百本もの時計をプレビューした結果得られた、10本のハイライトを紹介しよう。
このオークションシーズン中に、ここジュネーブで最も話題になったふたつのロットは、みんなが待ち望んでいるようなものではない。彼らはこれまででいちばん高い見積もり額を出しているわけではないし、少なくとも以下で紹介するほかの主役級と比べれば、控えめな存在だと思う。しかしそれらは博物館でしか見られないようなもので、いわば真の“ほかのものを探したほうがいい(find me another)”時計なのだ。
クリスティーズ、サザビーズ、フィリップス、アンティコルムの4つのオークションに出品されている最も注目を集めた時計について、ディーラーやコレクター、熱心な参加者に尋ねたところ、私はこの2本のヴィンテージウォッチのことを何度も耳にした。オーデマ ピゲの1943年製コンプリートカレンダー クロノグラフと、パテック フィリップの“カメレオン”(イエローゴールドのブレスレットが変色するトカゲの形に彫刻されていることから名づけられた)だ。この2本の、普通ではないヴィンテージの盛り上がりは、ここ数年のハイプウォッチの隆盛(そして衰退)を経て、誰もが再び本物の時計について語る準備ができていることを示している。
想像してみてほしい。職人技に基づく希少性、そうヴィンテージが再び重要になるのだ。それでは早速このふたつのロットからはじめて、パテック、ロレックス、そのほかのヴィンテージブランド、インディーズブランドなど、注目の時計を紹介しよう。そしてオークションに出品された現代の時計には黙祷を捧げよう。
オーデマ ピゲ コンプリートカレンダー クロノグラフ
まずはフィリップスに出品されている、オーデマ ピゲのコンプリートカレンダー クロノグラフ Ref.831から。オーデマ ピゲのコンプリケーションヴィンテージウォッチは、もはや信じられないほどのレアアイテムで、富裕層のユニークなミッションのようなもだ。1950年以前、APはカレンダー機能を搭載した腕時計を、わずか208本しか製造していない。そのためまったく同じ個体はふたつとないというのが実情だ。そのうち、わずか10本がRef.831(うち8本がYG)と確認されている。
夢のようなこの時計は、まさに私が好きなヴィンテージコンディションを保っている。完璧ではないがきちんとパティーナしている。33mmというコンパクトなサイズに短く太いラグ、文字盤には3種類のトーン(クリームのメインプレートにサーモンカラーのクロノグラフインジケーター、そこに内包されたシルバーのカレンダー部分)があり、それぞれが温かみのある色合いになっている。ブランパンやショパールのL.U.C、超薄型パーペチュアルカレンダーなど、いわゆるネオヴィンテージのコンプリケーションが好きなことはこれまでも公言してきたが、この時計を身につけると、複雑な本物のヴィンテージウォッチに勝るものはないのだと思い知らされる。それは40年代前半に美しくつくられたゴールドケースにすべての複雑機構を詰め込み、そしてハンドメイドで温かみがあって、さらにパティーナが施された、まさにマイクロメカニカルなマジックなのだ。これに匹敵するものはない。フィリップスの見積もり額は15万~30万スイスフラン(日本円で約2265万円~4525万円)となっているが、それは上回るはずだ。
パテック フィリップ “カメレオン”
パテック フィリップスーパーコピーのカメレオンは、APと同様、ヴィンテージの魅力にあふれている。オークションシーズン中、最も話題になるロットのひとつが、1949年の時刻表示のみのジュエリーウォッチだなんて誰が想像できただろう? それくらい、この時計は珍しいのだ。なんとパテック フィリップ・ミュージアムにあるのが唯一の例である。カメレオンをイメージして造形されたYGブレスレットの上に、パテック フィリップの小振り(18mmという小ささだ)な文字盤が納まっていて、つけると手首に巻き付いているようになる。この時計を見るまでのあいだ、カメレオンの希少性と重要性(おそらく最も重要なレディースパテックだと言われているのだ)について、さまざまな専門家が語っているのを耳にしたことがある。万人受けしないデザインだし、同じ爬虫類の仲間であるセルペンティのようなエレガントさはないが、“子供たちを連れてレインフォレストカフェ(熱帯雨林をモチーフに、リアルな動物の鳴き声・匂いが体感できるテーマレストラン)に行こう”というような感覚を持つほど、この時計はとても魅力的だ。ほかのHODINKEEエディターは、雰囲気的に小さな老婦人がつけていそうだと言っていた。でも私の祖母はたとえ家にあの(カフェの)臭いがあったとしてもそれなりに超スタイリッシュだったし、何も悪いことではない。
アンティコルムはこのカメレオンに5万~10万スイスフラン(日本円で約755万円~1510万円)の見積もり額を出しているが、この時計はほかに1本しかなく、しかもそれがパテック フィリップ・ミュージアムに保管されていることを考えると、この時計の話題性は言うまでもなく、この見積もり額をゆうに超えないことには驚かないだろう。
パテックで締めくくる
複雑なヴィンテージパテックが、オークションの主役となりうる大半を占めている。すでにノール 2497のことは書いたが、そのなかでもこれは特に興味深い話だ。また1518と2499もある。フィリップスからは、市場に出たばかりのファーストシリーズの2499が、オリジナルのまま修復されていないように見える個体と、クリスティーズからも同じく2499が出ているが、こちらはオリジナルオーナーの家族によってきれいに修復されている。どちらがよりよいか、時間をかけて議論することもできる(ちなみに私は修復されていない文字盤のほうが好きだ。長所も短所も含めて。だがひとつのシーズンに市場に出たばかりのヴィシェ社製ケースを持つ2499が2本も見られるなんて、うれしい限りだ)。ところでフィリップスは、2499の来歴について“ロイヤルファミリー”だと言及しているが、このロイヤルファミリーが君臨している可能性のある家族、国など、どこから来たかについては一切触れていない。慎重なのはわかるがヒントでもいいから情報が欲しい!
ほかにもミニッツリピーター 3974、ブラックダイヤル 570、ピンクゴールド 1463など、希少で複雑なパテックについても語ることができる。そのなかでもフィリップスから出品されているファーストシリーズから、ベイヤーの3940に注目したいと思う。コレクターが1518や2499、あるいはヴィンテージパテックの永久カレンダーモデルの細かな違いを区別できるようになったように、永久カレンダー 3940のようなクォーツショック後のリファレンスでも、同じことをし始めたのだ。Ref.3940は、1985年から2007年まで製造された長い歴史を持つ。最も重要なのはチューリッヒのリテーラーであるベイヤーが225周年記念としてつくった最初の25本のモデルである。
これはパテックにとって、すでに重要な意味を持つリファレンスだ。というのも、これは3970とともにパテックの複雑時計製造はどこにも行かないというフィリップ・スターン(Philippe Stern)氏の意思表明だったからだ。従来の3448、3450のように鋭くてシャープなものから、丸みを帯びたカラトラバ的なものへと永久カレンダーを再考している。またフィリップ・スターン氏が自ら身につけていた時計でもある。あるコレクターが言ったように、“老人にとって十分であるならば、私にとっても十分である”ということだ。
それだけでなく最初の25本のベイヤー 3940はとにかく素晴らしいのだ。一般的なシルバーダイヤルと比べて、こちらは温かみのあるシャンパーニュダイヤルを採用している。あのAPのようなヴィンテージの複雑時計に匹敵するものはないと言ったが、このシャンパーニュダイヤルはかなりそれに近づいている。さらにこのモデルがよりいいのは、スイス人のオーナーから譲り受けたもので、付属品がほとんど揃っているということ。どれだけ偏屈なコレクターも唸らせるはずだ。10進法の表記が好きなファンのためにお伝えしておくと、このモデル(のシリアル)は“No.10”である。25本あるベイヤー 3940のすべてがそうであるように、文字盤の右側にそう書かれている。フィリップスの見積もり額は、6万~12万スイスフラン(日本円で約910万円~1815万円)。ただスタンダードな3940よりもプレミアムがついて価格は伸び続けており、現在ははるかに高価な時計(サザビーズでは昨年、約40万ドル/日本円で約5390万円 で落札されたものがある)となっている。
ブレゲ トリプルカレンダー クロノグラフ
ここまでAPとパテックのカレンダーとクロノグラフについて多くの時間を割いてきたが、このブレゲのトリプルカレンダークロノグラフは、三位一体として提供されるものと同様、神々しくて珍しいものだ。例えばロレックスのジャン・クロード・キリーのような存在であり、それよりも希少価値がある。50年代、60年代、70年代にかけて生産されたスティールモデルのうち、おそらく十数本が発見されていて、これらは特注品だったと推測する意見もある。何はともあれ美しくて希少で、ショーメ兄弟に買収される前のブレゲの時代のヴィンテージウォッチはあまり多くは存在しない。昨年クリスティーズは、同様の時計を17万6400スイスフラン(日本円で約2665万円)で販売している。私はパティーナガイであるため昨年出たダイヤルのほうが好きだが、今週末に出品される12万スイスフラン(日本円で約1815万円)から18万スイスフラン(日本円で約2720万円)という見積もりは妥当なようだ。
未発売のホワイトゴールド製ヴァシュロン 222
そうそうブレスレット一体型のスポーツウォッチの存在をほとんど忘れていた。今シーズンちちばんの注目は、WG製のヴァシュロン・コンスタンタン 222だ。そう、これは初めての222である。長いあいだ初代222はゴールド、SS、ツートンの3種類の金属で構成されていると考えられていた。この時計が発見されるまでは。
ヴァシュロンとフィリップスによると、こんなストーリーがあるそうだ。それは80年代のこと、あるクライアントからWGケースでできた222の依頼があり、さらにそれをダイヤモンドなどの宝石で仕上げたいというものだった。ケースの製作が完了したあとクライアントの意向が変わり、このようなユニークでプレーンなWGの222が完成したそうだ。ホールマークがはっきりとわかる、本当にキレイなコンディションを保っている。SS製のスポーツウォッチであるはずのWG(またはプラチナ)バージョンを身につけると、いつも心が溶けてしまうような気持ちになる。この222を手に取ったときにはその気持ちはさらに増幅した。これまで存在すら確認されていなかったバージョンの時計だったから。
フィリップスはこの222の見積もり額を、10万~20万スイスフラン(日本円で約1515万円~3025万円)としている。私たちはよく価格を類推(これはXの価値があるから、あれはYの価値があるはずだと、この記事でずっとやっていることだ)して判断しているが、このヴァシュロンは比較対象がないほど優れている。ただ本質的に判断するとしたら、時計学的にも歴史的にも興味深く、また希少価値の高さ、重要なメーカー、優れたデザインなど、すべての条件が揃っているといえるだろう。