ふじみ野市放課後児童クラブのブログ

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内部研修のご報告

チューダー ブラックベイ 54 “ラグーンブルー”を実機レビュー

つまり天気がいつも気まぐれな時期だ。ある日はセントラルパークで裸足になり、イチゴと湿気に包まれて太陽に酔いしれいるかと思えば、次の日にはセーターに手を伸ばし、雨のなかUberの運転手に渋滞の愚痴をこぼしている。そんな季節に登場するのが夏の新作ウォッチ。気まぐれな天気へのささやかな救いとなってくれる、頼れる存在だ。

チューダースーパーコピー代引き激安 ブラックベイ 54 “ラグーンブルー”(1980年代のブロック・シールズ[Brooke Shields]主演で物議を醸した映画『青い珊瑚礁』とは無関係だ)は2023年に登場したオリジナルの37mmモデルをベースに、色味を意図的に変化させたダイヤルが特徴だ。より明るく華やかで、現代的なルックスを備える。サンドテクスチャーが施されたアイスブルーのメタリックダイヤルに、ポリッシュ加工のレリーフベゼルと5連ブレスレットを組み合わせたことで、ツールウォッチとしての本質を損なうことなくよりドレッシーで洗練された印象を持つ。実際、200mの防水性能とCOSC認定のCal.MT5400を搭載しており、本格的なダイバーズウォッチとしての性能は健在だ。価格は59万5100円(税込)で、チューダーがこれまでの無骨なモデルになじめなかった層に対してブラックベイ 54(BB 54)の可能性を探ろうとしていることがうかがえる。恐らくその挑戦が成功するかどうかは、どれだけ多くのユーザーがこの輝きに共感するかにかかっているだろう。いずれにしてもこのモデルは、今年のWatches&Wondersで発表された直径43mmのペラゴス FXD クロノとは対照的な存在だ。

New Lagoon Blue 54
TUdor 5 link bracelet
Tudor clasp
 あのBB 54への熱狂に少し立ち返りたい(少なくとも私のなかではかなり盛り上がっていたのだ)。できるだけ冷静に語りたいと思うが、BB 54は、商業主義に走りがちなスポーツウォッチブランドが犯してきた数々の迷走に対する、ひとつの軌道修正のように感じられた。空から37mmのチューダー ダイバーズウォッチが降ってくるのを待っていたわけではない。だが、現代的なツールウォッチにはこうあって欲しい、という自分なりのごく控えめな希望に応えてくれる1本を待ち望んでいた。堅牢でスポーティな外観を持ち、36~38mmのあいだに収まるサイズ感。そして何より、オフィスの外や時計イベント以外の場所でも心から身に着けたいと思えるようなクールなデザインを備えた時計だ。

 BB 54が登場するまで、現代のチューダーに心を動かされたことは1度もなかった。これまでのチューダーには、まるで“ツールウォッチは本来の用途どおりに使うべきだと考える男の世界”といった雰囲気を感じ、ずっと自分には縁のないブランドだと思っていた。しかしBB 54を見たとき、これは私のための時計だと感じた。それと同時に、サイズの小さなモデルを探し続けながら、ピンクのダイヤルやダイヤモンドベゼルといった、ひどく的外れで短絡的な“ジェンダー表現”にうんざりしている女性たちのための時計でもあると思ったのだ。BB 58の成功や、ヴィンテージに着想を得たダイバーズウォッチを高い完成度で仕上げるチューダーの実績を考えれば、この時計が注目を集めるのは当然だろう。だがBB 54にはそれ以上の可能性もある。小径ツールウォッチという分野そのものについて新たな議論を呼び起こすきっかけとなる可能性を秘めている。この議論はこれまで長く見過ごされてきた、より多彩なニーズに応えるためにモデルの選択肢を増やすべきだという問題を、ようやく前に進めるきっかけになるかもしれない。

BB54 LB on wrist
 オリジナルのBB 54が女性をターゲットにしたサイズ設計だったとは思わないが、この“ラグーンブルー”のBB 54が女性層を意識したより大胆な1歩であることは明白だ。37mmというサイズは自然とユーザー層を広げる。そしてメタリックブルーのダイヤル、強い光沢を放つミラーポリッシュ仕上げのベゼルとブレスレット、さらにダイバーズ的な要素を抑えた全体のトーンには、明らかに女性市場を視野に入れた意図が感じられる。

 BB 54は装着感も良好だ。2023年の前作とスペックはまったく同じで、着けやすいサイズの時計としてはやや厚みがあるものの、それはメゾン チューダーにおいてはごく自然なこと。正直なところこの重みが気に入っており、堅牢な時計を好むという、自身の一貫した嗜好にしっかりと応えてくれる。ダイヤルは息をのむような美しさで、まるで太陽の下に置かれたアイシャドウパレットのように光を放ち、虹色にきらめき、繊細な質感をまといながらも宝飾的になりすぎない絶妙なバランスを保つ。もし私が、ベビーピンクやベビーブルーは女の子のための色といういまだに心の奥に残る文化的な刷り込みを完全に手放すことができたなら(かつてチューダーほど努力しなかったブランドによく見られた、一種のPTSD的反応)、恐らくこの青という色が持つ文化的な意味について熱を込めて語っていたに違いない。

Tudor BB Lagoon Blue
 さて、ブレスレットの中央リンクとベゼルのミラーポリッシュ仕上げについてだが、まだどう評価すべきか決めかねている。というのも大好きなBB 54が、もはやツールウォッチらしく見えなくなってしまったのを受け入れるのがつらいからだ。もちろんその意図は理解している。BB 54をよりドレッシーに、ジュエリー的なニュアンスを持たせた1本に仕上げ、ゴールドほど華美ではないが輝きを求める層にアピールしようという試みだろう。だがこのためらいは、単に私自身の問題かもしれない。この時計が、前作とまったく異なる空気感を持つという事実をそろそろ素直に受け入れるべきなのだろう。

 BB 54 “ラグーンブルー”は、インターネット上では概ね好意的に受け入れられているようだ。だがネットでの盛り上がりとは裏腹に、本作は人によって評価が大きく分かれる1本だと私は見ている。そう言うと目を丸くさせるかもしれないが、少し説明させて欲しい。レギンスとスポーツウォッチが革新の敵、つまりファッションの進化を停滞させていると見なされがちなアスレジャー(編注;スポーツウェアを普段着として着用するファッションスタイル)主義の現代において、女性のために作られ、女性に向けて打ち出されたスポーツウォッチは何か新しいことを語ろうとする姿勢の表れだと受け取れる。人気のスポーツウォッチを安易に派生モデルとしてではなく、サイズダウンして展開することは、女性が本当に望むものは何かを理解しようとする、誠実でまれな試みではないだろうか。マス市場向けの判断がしばしば純粋に商業的な論理で行われるこの業界において、このBB 54 “ラグーンブルー”はほんのわずかにきらめくメタリックな刺激を感じさせる存在だ。

BB54 LB watch
 いわゆる“ピンクにして小さくすればいい”という安直なやり方について言っているわけではない。私たちが見ているのはもっと根本的な問題で、現代の消費者、特に女性たちがほかの分野で何に魅力を感じているのかを多くのブランドが理解できていないということだ。私から多くの時計ブランドに言いたいのはこうだ。1度、大都市で丸1日過ごしてみて欲しい。レストランへ行き、ギャラリーを訪れ、ピラティスのクラスに参加して、カフェに足を運ぶ。今、人々がどのように服を選び、アクセサリーを身に着けているかは実に繊細で多層的なのだ。

 本物のジュエリーウォッチをつくっているジュエラーのメゾンでもない限り、強い華やかさ、いわゆる“ハードなグラマー感”を演出するのは非常に難しい。だからこそ無理にきらめき感を押し出すよりも、自分たちがすでに得意としている領域に集中してはどうだろうか? スポーティな時計にはちゃんとスポーティであって欲しい。洗練されていて日常使いしやすく、きちんと機能的である時計は、力まず自然に身に着けることでまた違ったグラマーさをまとうことができるのだから。私はすべての女性の声を代弁するつもりはないが、少なくとも個人的には、時計のデザインとはもっと繊細で考え抜かれたものであるべきだと思う。そして今はその繊細さが決定的に欠けている。99%の時間をかけて男性向けのオーバーサイズで大胆なスポーツウォッチを作っているブランドに対して私たちが求めているのは、オリジナルが持っていた魅力を損なうことなく、私たちにもきちんとフィットするモデルを作って欲しいということ。ただそれだけだ。

Tudor BB54 LB crown
Tudor BB54 LB watch
Tudor BB54 LB watch
 オリジナルのBB 54は、女性用の時計が男性用と同じように真剣に扱われる未来への始まりの合図だったのだろうか? 多くの場合、ブランドが看板モデルを女性向けにアレンジすると、それはあたかも後付けのようで、練りが浅く心躍るものにはなりにくい。しかし今回チューダーは、たとえその完成度が完璧でなかったとしてもこのモデルに本気で力を注ごうとする姿勢を示した。そして主に女性向けにマーケティングされるであろうモデルに対して、明確にブランドがエネルギーを注いだ点は特筆すべきだ。もちろん、この時計は男性にもフィットするだろうが、ツールウォッチを専門に手がけてきたスイスブランドがこうした方向へ舵を切るというのは大きな変化である。

 BB 54の最新リリースは、ブランドの中核を成すラインナップからすると美学的には完全に逸脱したものだ。ハイポリッシュ仕上げのレリーフスタイルのベゼルに、ポリッシュ仕上げの中央リンクを持つ5連ブレスレットを組み合わせ、アクアマリンあるいはベビーブルーにも見えるメタリック加工を施したサンドテクスチャーダイヤルを備えている。私にはこの時計が、こう語りかけてくるように思える。これは私たち女性のためにドレスアップした、着けやすいサイズのスポーツウォッチなのだと。

Tudor BB54 Lagoon Blue on wrist
 対照的に、BB 58のリリースサイクルを振り返ってみよう。2018年のオリジナルのブラックダイヤルに始まり、2020年夏のネイビーブルー、2021年には925シルバーと18Kゴールドモデルが登場し、2024年には18Kゴールドモデルにブレスレット仕様が追加された。これらはいずれも、BB 58ならではの美学から大きく逸脱することはなかった。たとえ金無垢であっても、素材としては大胆な選択だったが、その仕上げは全面サテン、グラデーションのダイブベゼルとマットな質感で“チューダーらしさ”はしっかりと保たれていたのだ。

 BB 54 “ラグーンブルー ”は、単なるダイヤルカラーの違いでもなければ、スポーティでヴィンテージ風、そしていかにもチューダーらしいという王道スタイルを踏襲した見た目でもない(それはそれで大歓迎だったが)。もしこれが2021年のBB 58で見られたような925シルバー仕様だったら、私は全面的に支持していただろう。しかしこのペールブルーという色はまったく新しい路線というわけでもなく、すでにフラミンゴブルーやインテル・マイアミとのクロノ“ピンク”、あるいはペラゴス FXD クロノ サイクリングエディション“ピンク”といったモデルで成功を収めてきた流れの延長線上にある色だ。これらはいずれも、完成された定番モデルに対する新たなアプローチとして登場した。確かにメタリックブルーのダイヤルは見ていて楽しいし、ブランドが今季掲げるピンク&ブルーのモチーフとも合致する。とはいえBB 54を愛する者の目線で見れば、このモデルは現代の復刻市場において貴重な、オリジナルのスポーティな外観を保つ小振りで着けやすいサイズのスポーツウォッチのひとつを派生的な存在にしてしまったたように見えてしまうのだ。私にとってフロスト仕上げのベビーブルーカラーのダイヤルと、メタリックのハイポリッシュ加工は、精神的な意味においては“女性向け”ピンクダイヤルの時計とあまり変わらない印象を受ける。

Tudor BB54 LB
 時計業界が無限の創造力にあふれた世界とは言いがたいが、それでもチューダーがカラーバリエーションを通じて新たな挑戦に真剣に取り組んだことは評価に値する。ラグジュアリーに対するときめきが薄れつつあるこの時代において、チューダーのようなブランドが届けるのはより控えめで共感しやすいラグジュアリーのかたちだ。それは、自然のなかに身を置いたときのような感覚や、自然が持つ根源的なシンプルさと調和するような価値観だ。そういう意味でBB 54は、時計に対する価値観がゆっくりと動き出す起点になったのかもしれない。つい先週ブランパンより発表された、38mmのフィフティ ファゾムスを見ればそれは明らかだ。大手ブランドでさえ、小振りなスポーツウォッチの意義を見直しはじめている。

 小さいケースにスポーティな満足感を求める私たちにとっては、まさに大きな1歩。そして同僚のジェームズ・ステイシーの言葉を借りるなら、もしかするとこれは“小振りなダイバーズウォッチの夏”の始まりにすぎないのかもしれない。


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